重吉さんの美意識

  • 2018.03.30 Friday
  • 23:46

八木重吉の詩による、カウンターテナー・混声合唱・児童合唱とオルガンのための

「私が、もういちど、生まれ変わる日。」

この曲集を構成する全10曲の詩をご紹介しておりますが、今回はいよいよ佳境の7、8曲目になりました。

 

八木重吉の詩の中には、「美しい・うつくしい」という言葉が実にたくさん出てきます。

私は、この「美しい」という言葉を人がどんな場面に使うかによってその人固有の美意識がわかるなあとつねづね思っております。

日頃から親しい友人などが何を「美しい!」と言うか注意深く観察していたりします。そして本当に親しい人というのはこの美意識が共鳴しあう人であるなあと感服するのであります。

重吉さんの言う「美しさ」というものは、人間が潜在的に生まれ持っている本質的な美意識のように思え、そこに深く共感している私であります。

 

この曲集には入れなかったのですが「美しい」という言葉が出てくる「不思議」と「素朴な琴」という詩をご紹介させていただきます。7曲目の「うつくしき わたし」とあわせて読むと、重吉さんの美意識というものが浮かび上がってくるように私には感じられます。

 

 

不思議


こころが美しくなると
そこいらが
明るく かるげになってくる
どんな不思議がうまれても
おどろかないとおもえてくる
はやく
不思議がうまれればいいなあとおもえてくる

 

 

素朴な琴

 

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかね
琴はしずかに鳴りいだすだろう

 

余談ですが、第7、8曲のご紹介にいくまえに本日私が見つけた「うつくしいもの」

横浜はもう盛大に桜が散り始めていて、道路に花や花びらがたくさん落ちて無残に踏んづけられています。道行くガキンチョたちの「このオバハン道路にはいつくばってなにやっとんねん」という冷たい視線の中、桜の生き残りを必死にかき集めて持ち帰りガラスのボールに水をはって浮かべご満悦であります。ああ、こんな私って美しい!のだらうか?

 

 

7. うつくしき わたし

 

Paratum cor meum, Deus, paratum cor meum ;

cantabo, et psalmum dicam.

(神よ、わたしの心はひるむことなく

あなたをたたえて歌う 詩篇57:8)

 

いきどほりながらも

美しいわたしであらうよ

哭きながら

哭きながら

うつくしいわたしであらうよ

 

Exsurge, gloria mea ; 

exsurge, psalterium et cithara : 

exsurgam diluculo

(わたしの魂よ、目覚めよ。琴よ、竪琴よ、目を覚ませ

琴を奏でてあけぼのを呼び覚まそう 詩編57:9)

 

うつくしくなると

いったん人はとほのいてみえる

もっとうつくしくなると

かがやいてちかづいてくる

 

哭きながら

哭きながら

うつくしいわたしであらうよ

 

 

8. ゆるし

 

神のごとくゆるしたい

ひとが投ぐるにくしみをむねにあたため

花のようになったらば神のまへにささげたい

 

Qui seminant in lacrimis,

in exsultatione metant.

(涙のうちに種まく人は

喜びのうちに刈り取る 詩編126:5)

 

 

(明日に続きます)

 

 

松本市音楽文化ホールオルガン設置30周年記念コンサート

”私が、もういちど、生まれ変わる日。”

2018年4月15日

松本市音楽文化ホール

15:00開演

https://www.harmonyhall.jp/organ30/